近年SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)やESG(環境E: Environment、社会S: Social、ガバナンスG: Governance)と言う言葉がよく聞かれるようになりました。温暖化、水不足などの環境問題、人権問題、差別などの社会問題など、人類は今、さまざまな課題に直面しています。企業にとっても、長期的に成長するためには、経営においてSDGsやESGへの取り組みが必要だという認識が世界中で広まっています。NPOなどのソーシャルセクターも社会課題を解決しようと、SDGsやESGの課題に取り組んでいます。しかしソーシャルセクターとビジネスセクターはそれぞれの課題を抱えており、歩みは決してスムーズではありません。株式会社イースマイリーでは、SDGsや社会問題をテーマとした絵本をソーシャルセクターとビジネスセクターが共創して子ども達に届け、SDGsを推進するしくみづくりを行っています。絵本のストーリーを通じて子どもたちが幼い年齢からSDGsの考え方にふれることで、社会課題の社会への浸透・普及が進むものと考えています。そのビジョンに共感した社会人と株式会社イースマイリーのメンバーがワンチームとなり、今まで培ってきたリソースを活かし、その実現をより加速させるためのプロジェクトに取り組みます。
パートナー団体 | 【パートナー団体 】 株式会社イースマイリー 【事業内容】 株式会社イースマイリーは「子育てでみんなと“笑顔”をつくる」をビジョンに、「社会課題の解決」と「事業の持続可能性」が両立する仕組みをデザインする会社です。注力事業は「絵本」。絵本のストーリーでソーシャルセクターと共に社会課題を伝え広げる「SDGsえほん」や、自治体やインフルエンサー等、様々なパートナーと絵本を共創し、魅力的なストーリーを発信しています。
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期間 | 【スケジュール】 2022年3月22日(火) Common Room 85 2022年4月7日(木) Kick Off 2022年5月20日(金) 中間報告会 2022年7月8日(金) 最終報告会
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【プロジェクトの進捗状況】
プロジェクトは、団体から1名、社会人3名の構成で実施しています。
メンバーは、オンラインのキックオフで初顔合わせだったため、初日は自己紹介でお互いの理解を深める時間としました。自由に自分のことを語っていただくことでその人らしさが表現され、メンバー相互の興味や関心が高まりました。また社会人のこのプロジェクトを希望した想いや団体のこのプロジェクトへの想いなども共有できました。団体の取り組む事業については、初日から熱心な質疑応答が行われました。
定例ミーティングは調整さんで全員の予定を合わせて決定しました。その結果、キックオフから3回目まで、短期間で頻度の高い実施となりました。また3回目はリアルでミーティングと懇親会が実施され、チームとして距離感が近くなり、まとまってきたように感じます。メンバーの期待値やわくわく度も高まってきているようです。
ミーティングの合間にも、スラックを用いて各々作業を行って持ち寄るなど、全員が熱心に取り組んでいます。団体の課題も輪郭が見えてきて、プロジェクトテーマも決まりつつあります。団体と社会人が同行するなど具体的な行動計画も企画されています。ますます熱いプロジェクトが展開されそうです。
【2枚目の名刺が生み出している「変化」とこれから】
社会人3名にとっても団体にとっても、それぞれの意見や行動は新鮮で、互いに良い刺激や気づきを与えあっています。全員が楽しみながら熱心にプロジェクトに取り組んでおり、課題遂行のための具体的な行動も始まりました。社会課題実現に向けて、今後の団体と社会人の相乗作用や化学反応がとても楽しみです。
その一方で二枚目の名刺のValuesの一つである「身の丈を超える」という点においては、まだまだ「伸びしろ」がたくさんあると感じています。今後も好奇心を持って行動する中で、きっと軽やかにすばらしいジャンプを見せてくれることでしょう。
このチームメンバーの笑顔をご覧ください。わくわくが止まりません。
【プロジェクトの進捗状況】
中間報告後のイースマイリー・チームは非常に充実した時間となりました。
「週に1度ミーティングでのディスカッション→次週までのタスクの決定→各自でタスクを実行→スラックで進捗確認→ミーティング」と回しながら進めていきました。社会人メンバーは本業である一枚目の名刺が非常に忙しい時も、時間を調整しながら取り組まれ、ミーティングだけではなく、スラックも活用して活発な議論が繰り広げられました。
中間報告後のプロジェクトの進捗およびチームの変化の特徴は次のように表現できます。
● 取組みの「深まりと広がり」
● チームとしての一体感の醸成
イースマイリー・チームがこのプロジェクトで取組んだことは次のとおりです。
① ビジネスセクターへの営業手法確立
② カスタマー(SDGsえほんの購読会員)の獲得
「ビジネスセクターへの営業手法確立」への取り組みは中間発表前から取り組み始めていましたが、1回目の試行実施の結果を元に、中間報告後に見直しを行いました。チームでのディスカッションを通じて、単に営業・売り込みをしてスポンサーを獲得するだけではなく、この事業の想いに共感しあえるパートナーに出会いたい、そんな願いを持ってディスカッションを重ねています。社会人が話し合ったことを元にタスクを行うのですが、目的を深く検討した上で工夫をしておられるのが見えて、わくわくします。
「カスタマーの獲得」は主に中間発表後に実施されました。子育て中の友人・知人にヒアリングをするなど、社会人一人ひとりが身近で自分にできるところから行動し、カスタマー獲得のためのアイデア出しを行いました。
プロジェクトの進展とともに、役割意識やチームの一体感が醸成されたように思います。自分ができることを役割として率先して担うだけではなく、他者の良さが生きる場面では、それを踏まえて依頼をするなど、互いに認め合い、協働関係が構築されてきたように思います。
【2枚目の名刺が生み出し始めている「変化」とこれから】
サポートプロジェクトの特徴は、上下関係や役割のないフラットな場であること、自分とは異質なメンバーと協働する機会であること、目標やミッションなど決められたものは何もなく、すべてゼロからメンバーで決めていく必要があることなどです。
社会人メンバーは日頃は会社で業務を行っているので、当初はいろいろな不安があった様子が伺えました。最初のうちはお互いにどこか遠慮があるように感じられました。自分に知識のない分野の議論には、意見をいうのに躊躇する様子もありました。また時には、イースマイリーさんの積極性やスピードの速さに引きずられているようなイメージも受けることもありました。
しかし中間報告が終了したあたりから、「日頃経験できない仕事をするのが楽しい」「自分にできることからしていこう」と、一人ひとりが活発に意見を述べ、主体的に行動し、かかわるようになってきたように思います。週1回のミーティングの間に行うタスクも、「これは私が・・・」と主体的に役割を引き受け、また「ここはお願いしたい」と協力・連携しあう姿が見られました。イースマイリーさんの人柄や仕事ぶりも、良い刺激になっているように感じました。
イースマイリー・チームは、チームとしても大きく成長してきたと実感しています。ますます今後の展開が楽しみです。
【プロジェクトの進捗状況】
イースマイリー・チームの社会人3名は、3か月間の間に、それぞれが本業の繁忙期の山を乗り越えながら走りぬけてくれました。まずは社会人のみなさんに拍手! !そして、そんな社会人の活躍に良い意味の刺激をバシバシと与えてくれたイースマイリーのおさむさんに感謝です。本当に充実した素敵なチームとなりました。
子ども達が小さな頃から絵本を通じて楽しく社会課題に接し、社会に関心を持てるようにと願い、SDGsえほんを子どもたちに提供したい、そのためにソーシャルセクターとビジネスセクターが協働するしくみを作ろうというイースマイリーさんの想いに共感して、社会人メンバーは集まってくれました。私たちが取り組んだ課題は次の2つです。
取り組んだ課題
①ビジネスセクターへの営業手法確立
②カスタマー(SDGsえほん購読会員)の獲得
① ビジネスセクターへの営業手法確立
●「社会課題の解決」と「事業の持続可能性」が両立する仕組みをデザインするというイースマイリーさんのビジョンを実現するための営業活動。社会課題に対するビジネスセクターへの訴求ポイントを掴み、体系化することを目指す。
●ガチガチの営業・売り込みではなく、同じ想いを持ったパートナーを探したい。
【成果】
●企業へのより良いアプローチ方法の確立
○返信率の大幅な向上
○同じ思いを持ったパートナーとの出会い
【道半ばのこと】
●企業との協業に向けた具体的な提案
●スポンサー獲得
スポンサー企業を獲得するための営業を目的としながらも、売り込みではなく、同じ想いを持ち共感しあえるパートナーを得たい。そのためにはどうしたら良いのか。チームでたくさんのディスカッションを続け、検討しました。
中間報告会前に1回目を実施し、2パーセントの返信率でした。中間発表後に2回目を実施しました。対象企業をイースマイリーさんと事業内容が近い、または顧客層が近い企業に絞り込み、その会社の事業内容を研究して営業メールを送付するなど、くふうを織り込みました。その結果、6パーセントと、1回目と比べて3倍の返信率を達成! 2回目の成功要因は次のように分析しています。
1. シナジー効果の高い企業に絞ったこと
2. 各社の事業を理解した上での営業メールを送ったこと
3. イースマイリーの事業や代表の矢澤修さんの経歴を知って貰ったこと
メールを送付した企業からは「自社のことを理解してメールをいただいてありがたい」と喜んでいただき、「自社とこのようなコラボができるのではないか」という提案をたくさんいただきました。例えば共催イベントの開催やコラボ商品の販売など。国際学会で学会テーマに関連するSDGsえほんを販売するなどの提案もあります。対象企業とのネットワークは今後新たな可能性を大きく広げてくれそうです。
また商談後、たくさんの企業から「ありがとうございました。」「良い時間でした」など、お礼のメールが届いたのも、このアプローチならではのことです。商談であっても、共感できること、想いを同じくできることであれば、これだけ喜んでいただけるということを目の前で確認できました。これは今後に活かせるポイントであると感じます。
最終的に時間切れで、具体的な進展はこれからのことになりますが、3か月の間に社会人メンバーがたくさんの種を植えてくれました。今後、企業とのコラボで新しい取り組みが広がり、花開くことと信じています。
② カスタマー(SDGsえほん購読会員)の獲得
【成果】
● 子育て中の友人への紹介→口コミで拡散
● 更なるカスタマー獲得に向けたアイディア出し
【道半ばのこと】
● 具体的な実行施策の策定
● 実際のアクション
● カスタマー増加
中間発表後に着手し、身近にいる子育て中の友人・知人の話を聴くところから始めていきました。身近な人だからこそ本音を言っていただくことができ、また何があれば購読したいと思うのか、アイデアをたくさんいただきました。夏休みイベントや企業の商品とコラボ、塗り絵などのおまけをつけるなど、幅広い提案が社会人メンバーから出されました。
イースマイリーさんによると、近い将来、SDGsえほんが新たに出版されるそうです。その際、保育園など子育て関係機関に配布したり、多くの親子の集まる場所でのイベントで配布することなど、検討しています。Line登録者の募集は現在実施中です。
これからが楽しみです!
【サポートプロジェクトを通してメンバーや団体に起こった変化】
サポートプロジェクトは、社会の変化、社会人の変化、組織の変化を生み出す仕組みです。このプロジェクトに参加して下さったイースマイリーチーム3名の社会人メンバーに、参加動機やサポートプロジェクトに参加してよかったことなどについて聴いてみました。
サポートプロジェクトに参加しようと思ったのはどうしてですか?
● 会社業務で関わりない人たちと話をすることで新しい刺激を受けたいと思った
● 業務以外の経験を得て自身の視野を広げたい
● 業務以外で何か社会と繋がり、新たな視点や刺激を受けたいなと思った
● SDGs等に興味がある。自身の社会人経験をプロジェクト推進に役立てることが出来る機会があるのであれば是非参加したいと考えている
イースマイリーさんのプロジェクトについて、どんなところに関心を持ちましたか?
● 絵本や子どもの教育に関心がある
● SDGsや社会貢献に関心がある。過去にボランティアなどで社会貢献活動に関わったことがある。
これまで本業をやりながら、本業以外のことをする経験は?
● 今回がはじめて(3人とも)
不安に思ったこと
● 業務上の知見を直接生かせる内容のプロジェクトではないので役に立つかどうか不安
サポ―トプロジェクトに参加してよかったこと
● 日頃の業務とまったく異なる経験ができた
● ビジネスとは違う観点での頭の使い方を経験
● 固定概念がない中でのブレストやいろんな人との出会いを通じての刺激
● イースマイリーさんのスピード感についていくのに必死
● 自分の知らない事業に取り組んでいる方の話を沢山聞けた
● 余りやったことが無い領域で、アイディア出し含めて、勉強になった
● 普段会えない人に会えた
● 子育て中の友人に絵本をプレゼントして喜んでもらえた
● 正解がない中での0からのディスカッション
● 自分の意見を言えるようになった
● SDGsに今までより関心を持つようになりました
● 最終報告会で最後にメンバー同士で褒め合ったとき、自分でも気付かなかったような点を誉めてもらい、嬉しかった
イースマイリーさんにも聞いてみました。
● 営業メールに6%の返信率というのは、すばらしい成果だ。今後も生かしていける。
● いつも社会人の3名が頑張ってくれているので、良い意味のプレッシャーとなり、自分も頑張れた。
● 自分と異なる視点での意見を言っていただき、大変ありがたかった。たくさんのものをいただいたと考えている。
社会人メンバーにとっても、イースマイリーさんにとっても、プロジェクトデザイナーの私にとっても濃厚な3か月でした。
今後、イースマイリーさんや社会人メンバーが作り出す社会の変化、組織の変化が、とても楽しみです。
以上
※今回のサポートプロジェクトは、三菱商事従業員組合のご支援のもと、三菱商事の皆様と実施いたしました。